《 災害時に役立つ情報 》
介助、誘導があれば立てる人・歩ける人、車椅子で移動できる人は、できるだけトイレで排泄をしましょう。
トイレを我慢するために水分や食事を控えたり、排泄を我慢することで体調を崩し重篤な症状になることがあるので、できる限り水分を取って、排泄を我慢することは絶対にしないでください。
皆でトイレに誘う声掛けをしてください。
色々な排泄方法がありますが、下記の方法をご紹介します。
●簡易トイレ
・水洗トイレ
水洗トイレで水が使えない場合は便器をビニール袋で覆い、新聞紙などの給水する物を入れて使用する。
・ポータブルトイレ
福祉用具販売店や施設などからポータブルトイレを集めてくる。
ポータブルトイレのバケツにビニール袋をかぶせ、中に新聞紙などの給水する物を入れて使用する。
・椅子トイレ
ポータブルトイレがない場合は椅子に穴を開け下にバケツや段ボール箱を置く。
バケツや箱にビニール袋をかぶせ、中に新聞紙や尿取りパッド・紙おむつなどの給水する物を入れて使用する。
・段ボールトイレ
2リットルのジュースなどが6本入っている強度がある段ボール箱の上部(蓋部分)を内側に織り込み、ポリ袋で覆い新聞紙や尿取りパッドなどの給水する物を入れて使用する。
・マンホールトイレ
下水用マンホールの蓋を開けて直接トイレにする方法だが、落ちるという危険が伴うのでお勧めできない。
ビニール袋は2重にすればなおよい。
ある程度たまるとビニール袋の空気を抜きながら密封して閉じる。
新聞紙は揉んでシワシワにする方が水分を吸収しやすくなる。
おむつ類が余っている場合は、吸収体を上にしてビニール袋に入れて使用する。
音が気になる場合は、新聞紙の上に布を一枚かぶせると消音になる。
市町村の方法に従って処分する。
避難所のトイレは糞尿が溜まり不潔になりやすいのだが、阪神淡路大震災の時に避難者自らがトイレ掃除を行い続けていると、他の人達が汚さないように注意するためきれいなトイレを保つことができたそうです。
●尿器・おまる
・男性の場合はペットボトルにジョウロ(紙などで作る)などを組み合わせて尿器として使う。
・小さめの段ボール箱を浅目のお皿状に切り取り、ビニール袋をかぶせ、中に新聞紙などの給水する物を入れて簡易尿器として使用する。
・スーパーなどのレジ袋の中に新聞紙や尿取りパッドなどを入れておまるとして使用する。
その場を動けないが自分で排泄できる人や夜間トイレにいけない場合に使用。
●布おむつ
紙おむつがない場合は布おむつを作る。
一番良いのはさらしや洗いざらしの浴衣だが、ない場合は吸水性のよいやわらかい生地を使う。
硬い生地は肌を痛め褥瘡(床ずれ:傷)を作る原因になるので注意が必要。
縫い目がある場合は、縫い目が肌に当たらないように注意する。
救援物資の衣料が余っていたら吸水性がよく肌に優しい服をおむつ用としてカットしておく。
お尻を覆う大き目のおむつと、尿取りパッドの代わりになる小さなおむつとの組み合わせを使用。
大き目のおむつだけだと尿が広がってしまい、広範囲の肌が濡れてしまう。
小さめのおむつを尿道口にぴったりとあてておくと出てきた尿は小さめのおむつで吸収するため、大き目のおむつの濡れる範囲が小さくてすむ。
濡れたままだと冷えてくるので、こまめに交換をしてほしい。
感染症予防のために交換時には使い捨て手袋を使うのがよいのだが、ビニール袋やパンの入っていた袋などを手袋の代わりにしてできるだけ素手では触らないようにする。
●洗濯
洗濯機で洗えるならよいが、手洗いで水が十分に使えない場合は洗剤を使わずに水洗いだけの方がよい。
すすぎが十分にできずに洗剤が残ったままだと皮膚トラブルの原因になる場合がある。
直射日光に当てて乾燥させるほうがよい。
どうしても水洗いができない場合、洗わずに直射日光で乾燥させて何度か繰り返し使うことも可能だが感染症などの衛生面に不安があるため、救援物資の衣類があるのなら使い捨てにするほうが衛生的である。
●おむつカバー
・ビニール袋カバー
乳幼児はスーパーの買い物袋の両サイドを切り開き縦長にすることでおむつカバーの代わりになる。
成人用も大きなスーパーの買い物袋を同じように使う事ができる。
・ゴミ袋カバー
45リットルのゴミ袋などを使うこともできる。
ゴミ袋を縦に二つ折にしてお尻からお腹を覆う。
ウエスト部分を紐などで縛って止める。
・再使用カバー
テープ式紙おむつがある場合は、使用済のテープ式紙おむつの外側の防水部分を剥ぎ取るか中に入っているポリマーを掻き出して、おむつカバーとして再使用する。
できるだけ足回りの立体ギャザーは残す。
おむつ・パッドは立体ギャザーよりはみ出さないよう、ギャザーの中に収める。
吸収体(ポリマー)は再利用不可。
動いたり座位を取ったりする方でビニール袋や布おむつが動いてしまう場合は、ビニール袋の上からパンツをはいて押さえる。
ビニール袋だと足回りから漏れることもあり、蒸れるため、おむつかぶれに注意が必要。
●組み合わせ
テープ式紙おむつ+パッド、パンツ式紙おむつ+パッド、布パンツ+パッド
この3パターンが基本の組み合わせ。
汚れたパッドだけを交換するようにするとおむつの数も減らせる。
パッドを尿道口に密着させると漏れが軽減される。
●スキンケア
縟瘡(床ずれ:傷)に注意が必要。
硬い床に寝かせっきりだと褥瘡になりやすい。
こまめに体を動かしてあげて圧抜きをする必要がある。
仙骨や坐骨などはもちろんだが、寝たきりの方は踵の褥瘡にも注意が必要。
清拭だけでもよいが、こすりすぎないように注意が必要である。
水がない場合、緑茶をタオルにしみこませてお尻をふいてもよい。
ただし傷がある場合はやめておく。
傷、褥瘡(床ずれ:傷)がある場合は医師や看護師に報告すること。
重篤な状態になる場合があるため、安易に考えないでほしい。
●水分補給
トイレを我慢しようと水分摂取を控える人が多いが、摂取水分が不足すると全身状態が悪化するため、こまめに水分補給をすること。
●オストメイト(膀胱瘻)
水道が使えない場合はミネラルウォーターやお茶で洗浄。
●オストメイト、留置カテーテル
医師、看護師に使用していることを必ず報告する。
●便秘
便意がある時は我慢をしないこと。
●動く
避難所では座ったり寝ていたりする時間が長いが、できる範囲でよいので動いてほしい。
その場に立つだけでもよいし、散歩や手足を伸ばすだけの軽い運動も行ってほしい。
体を動かすことで内臓がうごくため、消化吸収がよくなり便通もよくなってくる。
動かないと骨密度が下がり、認知機能も低下することがある。
●注意
排尿を我慢して膀胱に尿が過剰に溜まると、膀胱炎になりやすく、腎臓から尿が降りてこなくなり、腎臓に負担がかかり腎不全になりやすくなります。
・排尿:1日にトイレに行く回数が多い。夜間もトイレに行くことが多い。尿の匂いがきつい。無意識のうちに尿が漏れている。
1回の排尿量が少ない。残尿感がある。
このような症状がある場合は医者・看護師に相談すること。
・排便:排便は排尿よりも恥ずかしいことだが、決して我慢せず便意があれば排便すること。
便秘がひどく硬便が直腸(肛門)を防ぐとかえって水便が出て、便秘なのに下痢のような症状が出てくる。
簡易トイレを使う場合やおむつ交換をする時は、段ボールや布で周りを囲み、他者から見えないように配慮すること。
排泄は絶対我慢しないこと。
●除菌消臭
匂いにも配慮が必要。
本人はもちろん、周りにいる人も不快になる。
またウイルス(インフルエンザ、O157、ノロウイルスなど)を不活化させることも大事である。
赤ちゃんから高齢者まで多くの方がいる場所なので、殺菌電解水と二酸化塩素化合物でできた人体に無害の除菌消臭剤での空間環境整備も必要である。
ミストにより濡れることなく汚物や空間を除菌消臭する方法がある。
アルコールだけではウイルスを死滅させることができない場合があり、市販の除菌剤ではウイルスを包み込むが包み込んだ液剤が残ることがある。
またベタベタ感が残ってしまう。
●口腔ケア
口の中の汚れから全身状態が悪化することがあるため、口の中を清潔に保つこともだいじである。
歯磨きができればよいが、できない場合は口の中を拭いたり緑茶でうがいをすることを勧める。
●目隠し
多くの人がいる中で排泄したり着替えたりする時の目隠し。
できるだけ大きい黒色のビニール袋を用意します。(90リットルや120リットルなど)
底の部分(中央)に切り込みを入れ、上下を反対にします。
ビニール袋をかぶり切込みから頭を出せば、大きなポンチョのように首から下を隠してくれます。
排泄や着替えなどの目隠しとして利用できます。
上記の内容は一般的なものになりますので全ての方に当てはまるとは限りません。
施設・設備・用具が様々ですので、その場所に適した方法をお使いください。
個々の状態・症状によっては不都合が出る場合もあります。
医師・看護師などとご相談の受け、参考にしてください。
高齢者や障害者だけでなく、赤ちゃんや子供達、健康な人にも応用ができ、また気を付けてほしいことが含まれています。
ご希望があれば全国どこにでも実技紹介に伺います。
お気軽にお声かけください。
2011年3月25日